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2015年3月12日 (木)

「なにしてるんですか?」~ by葛西佐紀

この間、久しぶりに神田川沿いを歩いてみた。

春も間近だというのに、風は刃を持っているかのように冷たい。けれど、陽射しは確実に柔らかく、優しい。



ひとりの初老といっていいだろう男性が、柵に手を掛けジッと川面を見ている。私は気になってその後ろ姿を見ていた。

「なにしてるんですか?」と聞きたくなる衝動を抑えてジッと見ていた。

もし実際に「なにしてるんですか?」と聞いたら

「ネエサン、なに野暮なこと聞くんだい、川を見ているんだよぉ」と答えるだろう、きっと。

だって、そうしか答えられないのは分かっているもの。



子供の頃、お勝手で大根を切っている母の後ろ姿に「なにしてるの?」って聞いたら「大根切ってるのよ」という答えが返ってきた。

うん、それはわかっているのだけど・・・

どうやら私は、その答えが欲しかった訳ではないらしく、かといってどう答えてほしかったかも分からないまま曖昧に「ふ~~ん」と返事をしたのを覚えている。

あの時私はどういう答えが欲しかったのだろうか。今もって分からない。

そして、その初老の男性にどう答えて欲しいのかも分からない。



それにしても、時々ふっと見つける後ろ姿ってどうしてこんなにも切ないのだろう。

心の奥がシクシクするのは、愛おしくなるのは何故だろう。

多分、たぶんだけれど・・・

それは自分では決して見ることのできない自分の後ろ姿を、そこに見るからなのかもしれない。

何者でもない自分、ただそこに居るというだけの自分を、ただそれだけでいい自分を見つけるからなのかもしれない・・・

なんて大袈裟にもそんなことを思ってみたりして、でもそれがどうにも気恥ずかしくて、ちょっと肩をすくめてしまう私がいたりして。

いやはや、人はなんだか、とりとめないですねぇ~~

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コメント

うちの近所の、あるお宅。
その家の前を通りかかると、いつもおじいさんが座っていました。
そのおじいさんは、ずっとそこにいるかのように、いつも座っていました

葛西先生の文章を読んで、その方のことを思い出しました。
そして、その方を近頃お見かけしていないことに初めて気づきました。

どこに行かれたのだろうか?ひょっとして…

毎日あの場所で、おじいさんはなにをしていたのかな…?
私はなんで気になっていたのかな…?

父の背中がやけに小さく見えた時、なんだか少し淋しかった。

父が、『ありがとう、ありがとう。』ばかりを病室で繰り返してた時、なんだか少し悲しかった。


母の手が『また来てね!』と弱々しく握り返された時、なんだかハッとした。

いろんなことがブログを読んでいたら、甦ったのです。

意地を張っても、背中が少し淋しいだけさ。。。。なんにもなかった昔ように。。。ちょっと生きてみたいだけさ。。。

舞台の、語らない、語ってあまりある、葛西さんの姿。

私は、感じて思って、想像して、しまいには妄想して、ついついあのぉ、
あの時のあの舞台の〜と、聴きたくなってしまって、仕方がありません。

昨年のメガサリさんの展覧会場でのトークイベントで、舞台の聞きたかったこと、が、そうだったんだぁ!!とわかった瞬間に歓喜して嬉しかったのに、やっぱり舞台のあの姿あの瞬間だけ今も残っています。
そんな答え探しで20代は舞台を観にいっていたような自分の一面がお恥ずかしいです。夢中というのは霧中にもなるのか。ようやく霧が晴れて、富士山が見えて、青空も見えます。ブログを拝見して私もここに在ると、言えるような気持ちです。

面と向かって放たれる言葉より、雄弁に語る背中があります。
 
どれほど怒っているのか
どれほど哀しんでいるのか
どれほど愛しているのか

だから忘れられない背中があります。
何年たっても鮮明に脳裏によみがえる背中があります。

その背中に、今日も励まされ省みさせられます。

わ~春ですね~

哲学ですね~

後ろ姿って、その人の姿が現れるのかもしれませんね。

と、いうか、そうなんだろうな~

私は、近所の河川の橋の上で、川を眺めていた
ご老人に通りすがりに声をかけられたことがありました。
確かに、春うららかの日に、何をしているんだろ
川面を眺めているのかな~と思いつつ、通り過ぎようとしたら
やおら昔話を始めたご老人
その橋を通るたびの思い出すのだけれど
それからは一度も見かけない。
それでも川を眺めているご老人たちを観る度に
なんか声をかけられたくて仕方がない自分がいたりする。

それにしても、なぜ人は川べりに行きたがるんでしょうね?

なんだか河川敷を散歩したくなりました。

雪解けは増水するので、穏やかな川辺はまだまだ
ですが・・・

人間て、身体の表の側では善くも悪くも嘘をつくけれど、
裏の側では本心を語ると思います。語るけれども、背中は寡黙なので
その少ない言葉を読み取ってくれる優しい人に出会えたら秘かに喜ぶのかもしれません。
心の正直な部分の一番外側の背中に映る先生ご自身の姿も、ほかの誰かに何かを言葉少なに
語っているのかもしれないし、その人の内の何かを投影しているのかもしれないなあ、と
昨夜の残りのブリの塩焼き食べながら思う朝です。

ただ、川を眺めているだけ。
ただ大根を切っているだけ。

決してそうではない後ろ姿、背中に、何かを感じとっていたからこそ、思わず聞いたり聞きたくなったりしたんですね。

何かを訴えていた。
何かを叫んでいたのかも。
後ろ姿って、時に寂しいです。

大人になったのかも知れません。。

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