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2010年12月18日 (土)

「ちょっとせつない」~葛西佐紀

数年前、仕事場へ向かう朝
一週間に何度か、庭でおじいさんが洗濯物を干しているんです。
それも大量の。
私はおじいさんは“シバカリ”、おばあさんは“センタク”じゃないのかい、なんて思いながら通り過ぎていました。

足早の私もなんとなく歩調がゆるむ。

シーツ、枕カバー、タオル、おじいさんの物だろう下着、おばあさんの物だろう下着、おじいさんの物だろうパジャマ、おばあさんの物だろう寝巻き、おじいさんの物だろうズボン、Yシャツ

で、ある時ふと思ったんです。
ちょっとまてよ、おばあさんの物だろう洗濯物は下着と寝巻きだけだぞ!
おばあさんは、パジャマやネグリジェではなく、寝巻きだぞ!・・・・・・
そうか、おばあさんは病に伏しているんだ、おじいさんはおばあさんの介護をしているだ!

それからは、なんだか神妙な心地がして、おじいさんを見かけると
「大変だけど、頑張ってください」って思いながら足早に通り過ぎる私でした。

そんなある日、おばあさんの洗濯物がないのに気がつきました。
大量の洗濯物も随分少なくなって、おじいさんの物だけ・・・・

おばあさん亡くなったんですね、・・・・

洗濯物がない
なんの縁もない、見ず知らずの人の消息を、こんな風にして知ることがあるんだな。

洗濯物がない
人がここにいなくなるという事は、そういうことなんだな。

いまは仕事場が変わって、おじいさんの姿を見ることはできないけれど
おじいさんはいまも自分だけの洗濯物を干しているのだろうか。

                                      葛西佐紀   

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コメント

人は死んだらどうなるのでしょうか?
近頃それをよく考えます。
何故消えるとさみしいのか。

見られないから、
触れないから、
話せないから。

洗濯物だけで想像できる家族構成、暮らしぶり、そして想いですね。

夜の街に灯る
明かりひとつ、ひとつに物語があるのでしょう。

私の暮らしぶりも
誰かが見てくれているのかも…。

父亡き後、一人で一人分の家事をしている母を思い浮かべ涙がでました。
家事って無限大で誰からもほめられない。ましてや介護なら無限大にしんどい。
今自分が生きていて、生きている人と二人分の家事ができる幸せを大切にしたい、と思いました。
葛西先生、ありがとうございます。

『亡くなるまでが寿命よ。』と、母がよく言ってました。

小さいころ、人は死ぬのだと知ったとき、怖くて怖くて眠れませんでした。

その頃はお葬式も怖いものでしかなかった。

身近な身内がなくなり、私も齢を重ねて、悲しみと共に亡くなったその人の優しさに感謝できるようになりました。

死を受け入れられるようになりました。

佐紀さんのブログのおじいさん。
どうぞ寿命まで生きてくださいと祈ります。

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